調
ある楽曲、旋律もしくは和声の基礎となる音階を調と呼ぶ。
調と調号
長音階の調を長調 dur、短音階の調を短調 moll と呼ぶ。
ある調の音階に現れる変化記号の集合を、その調の調号と呼ぶ。
調号と調との対応を次に示す。あわせて和声・旋律短音階での変化音も示す。
近親調
ある調と近い関係にある調を近親調あるいは関係調と呼ぶ。
同主調
主音が同じ調を同主調と呼ぶ。
平行調
調号が同じ調を平行調と呼ぶ。
属調
もとの調の属音を主音とする調を属調と呼ぶ。
下属調
もとの調の下属音を主音とする調を下属調と呼ぶ。
近親調でない調を遠隔調と呼ぶ。
旋律の調判定
旋律や和声(の一部)の調を推定することを調判定あるいは調性判断と呼ぶ。
調号の推定
♯系の旋律なら Fis → Cis → Gis → ... の順に、♭系の曲なら B → Es → As → ... の順に、以下の方法で音階固有音かどうかを調べ、調号を推定する。
以下の音は音階固有音である。
- 次の音へ跳躍進行する音(短調の導音である場合もある)
- 次の音へ2度上行するときと2度下行するときで音高が変化しない音
- ♯がついていて、次の音へ2度下行する音
- ♭がついていて、次の音へ2度上行する音
また、以下の音は音階固有音ではない。
平行調の判別
調号が同じ長調と短調のうち、短調の下主音には次の特徴がある。
この特徴に合えば短調、合わなければ長調と判定する。
転調
曲の途中で他の調に移行することを転調と呼ぶ。
転調の際には、前の調で使われない音が新しく現れる。この音を特徴音と呼ぶ。
移調
楽曲全体を別の調に移すことを移調と呼ぶ。
移高の方法
調号を用いず臨時記号のみの楽譜へ移すことを移高と呼び、調号を用いた移調と区別する。
例題1:次の旋律を長3度下に、臨時記号を用いて移調せよ。
L:1/4
M:C
K:G
e3/2=f1/2gB | A B ^c2 ||
解:まず音符を下に3度移動し、臨時記号の性質を↑↓などで記入する。
L:1/4
M:C
K:G
c3/2"_↓"d1/2eG | F G "_↑"A2 ||
原曲の調号の長3度下の調号を確認する。今回は G dur(♯1つ)の長3度下で Es dur(♭3つ)となる。
L:1/4
M:C
c3/2"_↓"d1/2eG | F G "_↑"A2 || [K:Eb]
確認した調号により変化するすべての音に臨時記号を記入する。
L:1/4
M:C
c3/2"_↓"d1/2_eG | F G "_↑"_A2 ||
↑↓を臨時記号に反映して完成。
L:1/4
M:C
c3/2_d1/2_eG | F G =A2 ||
移調の方法
原曲に調号がある場合、次のように移高とほぼ同じ方法で移調できる。
例題:次の旋律を短2度下に、調号を用いて移調せよ。
L:1/8
M:C
K:Bb
d3 =e f3 d | B3_A G=B cd ||
解:まず移高と同様に、音符を下に2度移す。
L:1/8
M:C
K:Bb
c3 "_↑"d e3 c | A3"_↓"G F"_↑"A Bc ||
原曲の調号は B dur なので、短2度下の A dur の調号をつける。
L:1/8
M:C
K:A
c3 "_↑"d e3 c | A3"_↓"G F"_↑"A Bc ||
臨時記号(↑↓)を処理して完成。
L:1/8
M:C
K:A
c3 ^d e3 c | A3=G F^A Bc ||
原曲に調号がついていない場合、(1) 調を判定する (2) C dur の曲とみなす の2種類の解答方法がある。
また課題によっては「♯3個の調へ」や「平行調の属調の同主調へ」など、音程でなく調号や調を指定される場合がある。このときは原曲の調判定を行ってから移調する。
移調楽器
記音と異なる音高で演奏される楽器を移調楽器と呼ぶ。
特に管楽器の場合、記音Cにより奏される実音を用いてB管、Es管、A管、F管などと呼ばれる。
移旋
長調の旋律を短調に、また短調の旋律を長調に、あるいは他の種類の音階に置き換えることを移旋と呼ぶ。
移旋は変奏の一種である。
移旋する音階に合わせ、iii, vi, vii 音が半音変化する。
臨時に変化する音は原曲に従う。