調

ある楽曲、旋律もしくは和声の基礎となる音階を調と呼ぶ。

調と調号

長音階の調を長調 dur、短音階の調を短調 moll と呼ぶ。

ある調の音階に現れる変化記号の集合を、その調の調号と呼ぶ。

調号と調との対応を次に示す。あわせて和声・旋律短音階での変化音も示す。

えいしゅ調

調号 変化音 dur / moll
L:1\nK:C\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n ^f ^g yyyyyyyyyy
) C / a
L:1\nK:G\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n ^c ^d yyyyyyyyyy
) G / e
L:1\nK:D\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n ^g ^a yyyyyyyyyy
) D / h
L:1\nK:A\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n ^d ^e yyyyyyyyyy
) A / fis
L:1\nK:E\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n ^A ^B yyyyyyyyyy
) E / cis
L:1\nK:B\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n ^e ^^f yyyyyyyyyy
) H / gis
L:1\nK:F#\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n ^B ^^c yyyyyyyyyy
) Fis / dis
L:1\nK:C#\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n ^^f ^^g yyyyyyyyyy
) Cis / ais

へんしゅ調

調号 変化音 dur / moll
L:1\nK:C\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n ^f ^g yyyyyyyyyy
) C / a
L:1\nK:F\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n =B ^c yyyyyyyyyy
) F / d
L:1\nK:Bb\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n =e ^f yyyyyyyyyy
) B / g
L:1\nK:Eb\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n =A =B yyyyyyyyyy
) Es / c
L:1\nK:Ab\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n =d =e yyyyyyyyyy
) As / f
L:1\nK:Db\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n =G =A yyyyyyyyyy
) Des / b
L:1\nK:Gb\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n =c =d yyyyyyyyyy
) Ges / es
L:1\nK:Cb\nyyyyyyyyyy
(
L:1\n =F =G yyyyyyyyyy
) Ces / as

近親調

ある調と近い関係にある調を近親調あるいは関係調と呼ぶ。

同主調

主音が同じ調を同主調と呼ぶ。

平行調

調号が同じ調を平行調と呼ぶ。

属調

もとの調の属音を主音とする調を属調と呼ぶ。

下属調

もとの調の下属音を主音とする調を下属調と呼ぶ。

近親調でない調を遠隔調と呼ぶ。

旋律の調判定

旋律や和声(の一部)の調を推定することを調判定あるいは調性判断と呼ぶ。

調号の推定

♯系の旋律なら Fis → Cis → Gis → ... の順に、♭系の曲なら B → Es → As → ... の順に、以下の方法で音階固有音かどうかを調べ、調号を推定する。

以下の音は音階固有音である。

また、以下の音は音階固有音ではない。

平行調の判別

調号が同じ長調と短調のうち、短調の下主音には次の特徴がある。

この特徴に合えば短調、合わなければ長調と判定する。

転調

曲の途中で他の調に移行することを転調と呼ぶ。

転調の際には、前の調で使われない音が新しく現れる。この音を特徴音と呼ぶ。

移調

楽曲全体を別の調に移すことを移調と呼ぶ。

移高の方法

調号を用いず臨時記号のみの楽譜へ移すことを移高と呼び、調号を用いた移調と区別する。

例題1:次の旋律を長3度下に、臨時記号を用いて移調せよ。

L:1/4 M:C K:G e3/2=f1/2gB | A B ^c2 ||

解:まず音符を下に3度移動し、臨時記号の性質を↑↓などで記入する。

L:1/4 M:C K:G c3/2"_↓"d1/2eG | F G "_↑"A2 ||

原曲の調号の長3度下の調号を確認する。今回は G dur(♯1つ)の長3度下で Es dur(♭3つ)となる。

L:1/4 M:C c3/2"_↓"d1/2eG | F G "_↑"A2 || [K:Eb]

確認した調号により変化するすべての音に臨時記号を記入する。

L:1/4 M:C c3/2"_↓"d1/2_eG | F G "_↑"_A2 ||

↑↓を臨時記号に反映して完成。

L:1/4 M:C c3/2_d1/2_eG | F G =A2 ||

移調の方法

原曲に調号がある場合、次のように移高とほぼ同じ方法で移調できる。

例題:次の旋律を短2度下に、調号を用いて移調せよ。

L:1/8 M:C K:Bb d3 =e f3 d | B3_A G=B cd ||

解:まず移高と同様に、音符を下に2度移す。

L:1/8 M:C K:Bb c3 "_↑"d e3 c | A3"_↓"G F"_↑"A Bc ||

原曲の調号は B dur なので、短2度下の A dur の調号をつける。

L:1/8 M:C K:A c3 "_↑"d e3 c | A3"_↓"G F"_↑"A Bc ||

臨時記号(↑↓)を処理して完成。

L:1/8 M:C K:A c3 ^d e3 c | A3=G F^A Bc ||

原曲に調号がついていない場合、(1) 調を判定する (2) C dur の曲とみなす の2種類の解答方法がある。

また課題によっては「♯3個の調へ」や「平行調の属調の同主調へ」など、音程でなく調号や調を指定される場合がある。このときは原曲の調判定を行ってから移調する。

移調楽器

記音と異なる音高で演奏される楽器を移調楽器と呼ぶ。

特に管楽器の場合、記音Cにより奏される実音を用いてB管、Es管、A管、F管などと呼ばれる。

移旋

長調の旋律を短調に、また短調の旋律を長調に、あるいは他の種類の音階に置き換えることを移旋と呼ぶ。

移旋は変奏の一種である。

移旋する音階に合わせ、iii, vi, vii 音が半音変化する。

臨時に変化する音は原曲に従う。